時は誰も待ってくれない 下
「隼人…?」
私を抱きしめたまま静かに、そう呟いた切ない声は私の心に響いて、なぜか嫌な予感がした。
久々に聞いた隼人の弱々しい声。きっと隼人も不安なんだ。
いや、私とは比べものにならないくらい隼人は毎日不安で押しつぶされそうなくらい苦しいはず。
「隼人、頑張ろう?」
「…」
「隼人だけが頑張るんじゃなくて、私もいるから頑張ろうよ」
「頑張ろう…」
「うん、二人で頑張ろうね」
「…うん」
「治ったら二人でいっぱい何処かに行こうね」
「真由」
「ん?」
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