時は誰も待ってくれない 下
優しかいない。
日にちを考えても抱かれた相手は優だけ。
私のお腹の中にいる子は優の子なんだ…。
隼人はどう思うんだろう。
私は隼人と付き合っているのに…隼人の子じゃない子がお腹の中にいる。
それを知ったらどう思うだろう?
私のこと嫌いになっちゃうのかな…。
優には言わなければいけないこと?
病院のフロアのソファーで悶々と考えていた私はハッとした。
私…優や赤ちゃんのことより、隼人にどう思われるかを考えてる…?
気づいた瞬間、私はものすごい嫌悪感に抱かれた。
自分が嫌だ。こんな自分…。
どうすればいいの…?
「真由、何してんの?」
その声に振り返ると後ろには車椅子に乗っている隼人がいた。
悩みすぎて隼人の存在に気づかなかったんだ。
「大丈夫か?ボーっとしてたけど」
「あ、うん大丈夫」
「顔色も悪いし…」
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