時は誰も待ってくれない 下


それから隼人の体調は良くも悪くもで
私のお腹は大きくなる一方だった。
毎日病院に来る私を笑顔で迎えてくれて、この間なんて隼人が赤ちゃんのためにってニットの帽子をくれた。
きっと産まれてくるのは少しだけ寒い時期だろうからって。
友達に買ってきてもらったらしいけど、私は気持ちだけで胸がいっぱいになった。
本当に、本当に幸せだと思った。
「あ!今お腹動いた!」
「え、まじかよ」
「なんか感動する〜」
「聞こえますかー?パパですよ〜」
見た目からパパなんて言葉を言わなそうな隼人が私のお腹に顔を寄せて楽しそうに言うもんだから思わず笑う。
意外にも子供が好きなのかな?
見た目がちょっと不良で高校の時なんてみんな恐れて近寄らなかった。
< 65 / 143 >

この作品をシェア

pagetop