時は誰も待ってくれない 下
山下くんは悲しそうな瞳で私を見つめている。
「高橋さ…」
「ごめんね、せっかく教えてくれたのに。…もう、中谷には会わないから」
そう言うと山下くんの力は少しだけ抜けて私は腕を振り払って背を向けた。
山下くんは何か言おうとしたけど私がそれをさせなかった。

『余命三ヶ月』

この言葉が酷く私の心を突き刺す。
タイムリミットはこうしてる間にも近づいていて私は、逃げた。
本当は中谷に会いたくないと言われて動揺してる自分がいることも分かってる。
中谷が死んでしまう…と思うとじっとしてられい。
優よりも中谷の顔が浮かんで私の頭の中を支配する。
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