時は誰も待ってくれない 下
「きっと中谷くんも喜んでます」
「…」
「じゃあ…これで」
軽く頭を下げると病室を出ていこうとした時
「…ありがとう」
私はいつぶりかに口を開いた。
ほんとうに、いつぶりだろう?
結衣さんは優しく微笑んでまた頭を下げると部屋を出ていった。
病室がオレンジ色に染まり出した時間。
何をすることなく時計の針の音だけが病室に響く。
カチ…カチ…カチ…
一人だ…。
はぁ…はぁ…苦しい…
ガタンッ!
「くる、し…」
動機がして呼吸が乱れる。
あぁ、また発作だ…
私は一人ということを実感するといつも苦しくなる。
「一人…だ…」
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