時は誰も待ってくれない 下
中谷から離れることで中谷を傷つけないように決めたけど本当は一緒にいればいるほど中谷が居なくなることが怖いからなんじゃない?
私はやっぱり偽善者で、言い訳をして自分を守ってるんじゃないの?
そう考え出したら自分が嫌になって道の真ん中で足を止める。
私は何がしたいの?
私には誰よりも優しい優がいる。
もちろん優のことは大好きだし、優も同じ気持ちでいてくれてると思う。
それ以上に何を望むっていうのよ。
やっぱり私はズルイ人間だ…。
『もしもし』
「…」
『真由?』
「優…」
気づけば私はバイトなのか用事があると言っていた優に電話をかけていた。
こうやって優の優しさに逃げているんだ。
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