半透明彼女
僕の変身?
「ジュンペーって学生?」
「大学生だよ。来週、入学式。」
「…そっか。」
僕の周りを足音もなく、スーッとぐるぐる回りながら、首をかしげる綾ちゃん。
時々、眉を潜めながら僕を見下ろす視線。
「なっなっなんだよ?」
「んー、素材はいいのに。もったいないなぁー。」
「これから、お出掛けしよっ」
「何処に?」
「いい所」
何の説明もなく、急かされて身支度をする。
足早に出掛け、綾ちゃんが行く方向に着いて行く。
田舎者の野暮ったいダサい僕には似合わない街並みを歩きながら
半透明な彼女に着いて行く。
~
何やら鼻歌を唄いながら楽しそうな綾ちゃんは、歩くというよりは、スーッと滑ってるみたいだ。
幽霊も足はあるんだなぁ…と、ぼんやり考えてると綾ちゃんは立ち止まって
「ここだよ!」
ふっと顔を上げると、僕には無縁のお洒落なヘアサロンが、そこにはあった。
ここですか?