半透明彼女
さっきのイケメン店員が近づいて来た。
「今日はどの様になさいますか?」
綾ちゃんが、僕の手を動かしファッション誌の一部分を指差させ、僕の声色を真似て代弁した。
『この…髪型に…して下さい。』
「かしこまりました。此方ですね?」
!!!
「ちょっと!」
思わず口走る。
だって、あまりにも…僕にとは違いすぎる!
「違う髪型にされますか?」
イケメン店員は、営業スマイルで聞いてきた。
『あ、これで。…お願い…します。』
綾ちゃんが、またしても代弁する。
僕の指差す髪型は…
まるでホストじゃないか!
いくら何でも僕には似合わないだろう…。
入学式もあるのに。
だって、ほとんど金髪。
『カラーはブラウンで…』
「ブラウンですね?かしこまりました。」
僕は、少しだけ安心した。