彼女の恋~小指の赤い糸~



私の携帯。


しばらく鳴って止まった。


直ぐにまた携帯から音が聞こえてきた。

「出たら?」

課長がどいて浴衣の前を合わせながら起き上がり携帯を手に取った。


主任!?


「出ないの?」


携帯を持ったまま固まっている私を課長は不思議そうに見た。


「家からで、ちょっとすみません」



バスルームに行き電話に出た。


《今、課長と一緒だよな?》


《いきなり何なんですか》


《花火祭りは楽しかった?
もう少し一緒に居たいから、だったっけ?》


なんで……?


《今、中島さんのアパートの前にいるんだ》


《もしかして……》

《いたよ。
中島さんが課長と一緒に帰って来た所を見てた》



< 101 / 235 >

この作品をシェア

pagetop