彼女の恋~小指の赤い糸~



「披露宴に行かなくても千夏と東條君が幸せになれるようにって思っている。
それじゃあ駄目なの?」


「今までいろいろと、あったけど紗季さんはずっと尊敬する先輩です。
それはこれからも変わらなくて、だからっ……」


本当にあなたは、どうしてそんなに優しいの?


「何、揉めてるの?」


「「主任!!」」


主任が私達の間に割って入って来たのは久しぶりだ。


この間、早退した千夏を見送った日以来主任は私を避けている。
仕事以外は私には話しかけては来なかったのに。



主任は千夏の手元を見てから私に視線を移した。



「それ結婚式の招待状?
君も披露宴に行くんだよなぁ?」



何でそんな事を訊くのよ……。
主任は私が出席できないって分かってる筈でしょ。



「私は披露宴には行かな」


「もちろん行くんだよな。
安西さん、彼女出席できるって招待状を渡さないと」



ちょっ……何を、勝手な事を……。


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