彼女の恋~小指の赤い糸~
ここニューヨークに来て半月が経った。
今頃、中島は俺が居なくなって、ほっとしているんだろうな。
あの日は中島の顔を見たくなってアパートまで行った。
「しばらくニューヨークに研修に行く事になった」
「えっ?
ニューヨーク……ですか?」
俺が居なくても平気そうな顔をするから癪にさわった。
「中島は毎日会えなくても平気らしいな」
「突然だったから何て言えば良いのか分からなくなって……」
慌てて言い訳する中島に更に怒りが増した。
「最近、諸田主任とはあまり話さないんだな?」
「主任とは別に……」
こんな事を言うつもりはなかった。
諸田の事を問い詰めるつもりでアパートに来たわけじゃない。