彼女の恋~小指の赤い糸~


その日いつも通りに仕事を終えて帰ろうとしたら、後ろから主任に声を掛けられた。


「中島さん、ちょっと待って」


本当なら、そのまま聞こえないフリをして行きたいところだけど……。
仕方なく足を止めた。



「何ですか?」


「中島さんにお願いがあるんだ」


何となく嫌な予感がした。


この間、言われた事も心の中でずっと引っかかっていて出来たら主任とは話したくない。

主任からのお願い事なんて今、直ぐに断ってしまおう。



「何だか知りませんが引き受ける気はないので、お断りします。
お疲れさまでした」


素っ気ない言葉を放って、さっさと帰ろうとしたら。


「ちょっと待てっ。まだ何も言ってないだろう」


ガシッと肩を掴まれた。
足止めされるなんて思わなくて驚いた反動でビクッとなってしまい。


主任はそれに気付いたようで直ぐに肩から手を外した。


「悪い……」


主任と話すと、きっとまた疲れる。
早く話しを終わらせて主任から離れたい。



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