彼女の恋~小指の赤い糸~
「なぁ、どうして?」
本当の事を言ったって信じて貰えないような気がした。
「…………」
「答えてくれないんだ」
「私は……映画が見たかっただけで、たまたま主任が誘ってくれたから。
だから深い意味はないんです。
課長の事は別に気にしなくても。
ただ一緒に映画を見ただけですよ」
「へぇー。
課長はよっぽど自信があるんだ?」
自信って?
「俺だったら無理だな。
自分の彼女が他のヤツと一緒にいるなんて。
課長は余裕だね」
主任にはそれ以上追及される事はなく。
「それ飲んだら帰ろうか」
「はい」
その後は忘れてしまったように話しは出なかった。
私の言葉が主任の疑問を更に深めている事に気付かずにいた。
内心ヘタな言い訳をしてしまったって思ってたのに納得してくれたんだとほっとしていた。