彼女の恋~小指の赤い糸~
「課長、コーヒー飲みます?」
「いや、いい……」
「長い間ほっといた課長が悪いんじゃないですか?
俺なら……ニューヨークに行く事になったって他のヤツに盗られるようなヘマはしない」
課長は鋭い視線で睨んで来た。
「……人の女に手を出したくせに、偉そうに説教かっ?
ふざけんな!!
中島は俺の女だ。
絶対に別れないからな」
殴られる事を覚悟であえて課長には不快に感じるような言葉をぶつけた。
課長が拳を握りしめてこらえているのが見えた。
紗季が想ってくれていたと知った時に課長から奪うと決めた。
実際に、そう決めた通りに彼女を抱いた。
後悔はないし、もう離す気はないが俺にも罪悪感はある。
殴られれば、この罪悪感も消えてくれるような気がした。