彼女の恋~小指の赤い糸~



「ところで紗季は課長に怯えているようだけど、理由に心辺りは?」


何度訊いても彼女が教えてくれない理由。
課長に直接、訊けば何か分かるはずだ。


暫く考え込んでいた課長は何かに思い当たったのか顔を上げて紗季を凝視した。


「そんなに苦痛だったか?
……なぁ?
もう少しも俺に気持ちは無いか?
もう一度やり直すチャンスをくれよ」



課長は紗季に近づきながら手を伸ばした。



一瞬、不安になったものの伸ばされた手を避けた事にほっとして課長から紗季を隠すようにして間に立った。



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