彼女の恋~小指の赤い糸~
その後、主任が口を動かして何か言っていたけど良く分からなくて、その内に主任も消えてしまった。
フッと何も見えなくなり目が覚めた。
夢……。
左手を目の前に翳した。
赤い糸なんて、見えるわけないか。
「運命の赤い糸か……。
しかも主任まで出て来て……変な夢見ちゃったな」
ガチャッとドアが開き主任が入って来た。
肩にタオルが掛かっていて髪が湿っていた。
「気が付いたんだ。俺の夢でも見てた?」
「えっ?」
主任は近づいて来てベッドに座った。
「寝てる時に紗季が主任て呟くのが聞こえたよ」
さっきの夢を思い出してクスッと笑った。
「ニヤニヤして、そんなにいい夢だった?」
「ふふっ、主任には内緒です」
「そんな事を言われると余計に気になるんだけど。
教えろよ」