彼女の恋~小指の赤い糸~
お昼休みになり千夏には少し遅れると言って先に行ってもらった。
誰も居なくなった所で課長のデスクに呼ばれた。
課長は近くの椅子を持って来て座るように言った
「中島、昨日の事を話そう」
「課長本当に裏切ってしまってごめんなさい。
許して貰えるなんて思ってません」
「……中島、顔を上げろ。
昨日、一晩考えて決めた。
俺達ちゃんと別れよう」
「課長……」
「中島への想いを消すには、まだ時間が必要だけどな。
これからは上司と部下だから。
それだけ言いたかった。
もう行っていいぞ」
「ごめんなさい」
「もう謝るな。
俺が惨めになるから」
私は立ち上がって一礼して食堂に向かった。
課長を傷つけてしまった事は、胸に刻んで一生忘れない。
例え課長が許してくれる日が来ても……。