彼女の恋~小指の赤い糸~



少しして、その場を離れた。


胸にグッとくるものがあって思わず、そのまま出て来てしまい落ち着こうと壁側に寄って立っていると。


「どうした?
二人を見ているのは、やっぱり辛いか?」


「主任」


「違うんです……。東條君も千夏も私の事を……」

ちゃんと言葉に出来なくて首を横に振って主任を見ると、いつもより真剣な顔で私の言葉を待っているように感じた。


これだけは言おうと。
「さっき、おめでとうって言って来たんです」


「そうか。
それで?やっと安西さんと東條の気持ちが分かったか?」


「……東條君にはずっと、嫌われているって思ってて……でも違ってた。

千夏だって本当は私の事をまだ許してないんだって思っていたのに……」



「二人の気持ちが分かったんなら前に進めそうか?」



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