彼女の恋~小指の赤い糸~
そう聞いてきた主任は、いつもと違う。千夏に接する時のような穏やかな顔で私を見ている。
今まで、こんな顔を私に見せた事なんてないくせに……。
何で急に優しい顔で見るの?
「中島さん、聞いてる?」
「今の主任、変です。どうして急に優しい顔になるんですか?」
「中島さんに酷い事をしているつもりはないけど?」
「自覚ないんですか?
いつも千夏と話していると絡んできて私を責めるような顔をしているじゃないですかっ」
「はあ?
おい、俺はそんなつもりはないぞ」
私の言葉を主任は直ぐに否定した。
「でも……あの時、急に計画を止めたのは千夏の為なんでしょう。
主任は私を嫌っているんでしょ?
千夏に何かしようとしないために監視していたんじゃないですか?」