彼女の恋~小指の赤い糸~
「…………」
暫く固まっていた主任は目をぱちぱちさせて驚いた顔をした。
主任は大きく、ため息を吐くとやっと口を開いた。
「凄い勘違いだな……」
勘違い?
「俺が安西さんを守る為に中島さんを監視していたと思ってたのか。
中島さんは頭が良いくせに変な思い込みをするんだな」
主任は呆れたように私を見た。
「だって今までの流れからしたら当然だと……」
「あのなぁ、俺が計画を中止にしたのは中島さんの為だ」
「えっ……それってどういう事ですか?」
「中島さんを見ていて思ったんだ。
本当は、やり始めた事を後悔しているんじゃないかってさ」
主任の言葉に驚いた確かにあの時は始めたものの心の何処かで後悔している自分がいたから。
「主任に紗季さん、千夏さんお色直しで着替えて戻って来ますよ。
中に戻らないんですか?」
後輩の女の子の一人が、なかなか戻らない私を心配して様子を見に来たようだった。
「話しはまた後で」
そう言うと主任は中に入って行った。
私も自分の席に戻って座った。