彼女の恋~小指の赤い糸~
「葛城一真です。よろしく」
簡単な挨拶が済むと直ぐにそれぞれが通常の仕事に戻った。
「紗季さん」
隣にいる千夏に呼ばれた。
「ん?また何か間違えたの?」
「またって、いつも失敗してるような言い方しないで下さい」
千夏、控えめに言ってもあなたはミスが多いわよ!!
「葛城課長の事ですけど……」
「葛城課長がどうかしたの?」
急に小声になった千夏につられ小声で聞き返すと。
「どう思います?」
「どうって……」
「主任と同じ歳みたいですよ。
主任より若く見えますよね」
「うーん、確かに見えるわね。
仕事が出来そうな感じだし何を考えているか分からない狸みたいな人よりは全然良いかもね」
「……それって主任の事ですよねぇ?
いくら何でも狸は言い過ぎですよ。
主任は結構、優しいと思います」