彼女の恋~小指の赤い糸~


退社時間になった。

「コホッ、コホッ」

「紗季さん、本当に大丈夫ですか?」


「うん、後は帰るだけだから」


「風邪なら軽い内に対処しておかないと温かいものを食べて今日は早く寝て下さい」


「分かってるわよ。
でも、ありがとう」

「何、中島さん風邪?」


「軽く咳が出ているだけだから大丈夫です」


「そうか。
でも、まぁ気をつけろよ」


いつもの表情ではなく心配してくれてるように見えた。


「家族とは別なんだよなぁ。
酷くなっても大変なんだから早く帰って休めよ」


あー、そうか酷くなって会社を休まれたらって事だよね。


「主任、紗季さんを心配しているようでしたね。
やっぱり優しいですね。」


「仕事に支障をきたすと思ったんでしょ」

「仕事じゃなくて紗季さんを心配しているんですよ」



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