彼女の恋~小指の赤い糸~
千夏は私の心配だって言ったけど主任が心配しているのはやっぱり仕事の事だと思う。
「紗季さん帰りましょう」
会社を出てから千夏と分かれてアパートに帰って来た。
あまり食欲がないまま何とか食べて、いつもより早い時間に布団の中に入った。
恐い夢を見た。
何かに追いかけられている夢を。
必死で逃げようと走る私、でも思うように足が動かない。
このままだと黒い影に追い付かれる。
苦しい、でも怖い
速く、もっと、速く走らないと。
……はぁ…っ、もう走れないッ……!
追い付かれた。
踞っている私に近づく黒い影。
イヤァァァー!!
夢の中で叫んだ筈が本当に声を出して目が覚めた。
「はぁっ、はぁ……っ…」
時計を見るとまだ夜中の2時。
身体が、凄く怠かった。