彼女の恋~小指の赤い糸~


病院に行く気力も無くて氷枕だけはしてずっと寝てた。
ふと気が付けば夕方になっていて。


枕元に充電しながら置いておいた携帯電話が鳴って出ると。千夏からだった。


《紗季さん千夏です。
身体は大丈夫ですか?》


《何とかね》


《まだ調子悪いようですね。
熱はありますか――――》


千夏は、まるで看護師のようにいろいろと質問をして来て最後はこれからアパートに来ると言うのでさすがに、それはまずいと断ったんだけど。



《うつると困るでしょ。
来なくていいから》


《マスクして行くし大丈夫です。》


《でも、―――――》


《とにかく、風邪薬買って行きます》


電話は切れてしまった。


来るって言ったって動けなくて片付けとか出来てないのに……。


立ち上がって散らかっているものを片付けようとして動いた途端クラッと目眩がしてその場に座り込んだ。


動けないや。
仕方ないか。
散らかったままになっちゃうけど……。


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