彼女の恋~小指の赤い糸~
「主任こそ帰らないんですか?」
「もう少ししたら帰るよ」
それから、また時間が経っても主任は帰ろうとしない。
いつまで、ここにいるつもりなんだろう。
課長の電話が終わる前に出て行ってくれないかな。
「待たせて、ごめん行こうか」
「あっ、大丈夫です」
電話は終わったみたいで声を掛けられて椅子から立ち上がると近くにいた主任と目があった。
「中島さんは……」
主任が言いかけた言葉は途中で聞こえなくなり聞き返した。
「主任、何て言ったんですか?」
「いや、なんでもない。
お疲れ」
主任は課長にも挨拶をすると、そのまま出て行ってしまった。
何を言おうとしていたのか分からない……。