彼女の恋~小指の赤い糸~
「行こうか」
「はい」
主任の事は頭の隅に追いやって課長と会社を出た。
課長が連れて来てくれたのは美味しいと評判のレストランだった。
「女の人と良く、こういうお店に来るんですか?」
「まぁ、いつもって訳じゃないよ。
それに、ここに来たのは久しぶりだ」
課長はモテるから女の人と行くお店は、いろいろと知ってそう。
「興味示してくれるなんて嬉しいな」
そんなつもりで言った訳じゃないんだけど……。
「そんな困った顔をしないでいい。
分かってるから気長に待つよ」
にっこりしながら言われた。
主任と同じ歳とは思えないほど落ち着いている。
課長の笑顔にドキンッとしてしまった。
カッコイイだけじゃないんだ……。
落ち着いていて、大人の雰囲気にあんな笑顔を見れば……。