彼女の恋~小指の赤い糸~


「主任、実は大変なんです。
紗季さんが―――」


中島紗季が課長と付き合い始めたと安西さんから聞いたのはいつものように東條のマンションで飲んでいる時だった。



予感はあった。
前に課長と中島さんが二人で帰ろうとしている時に居合わせたし、それから二人の関係がずっと気になっていた。



それ以前に中島さん達と話していると、いつも視線を感じた。


中島さんを見つめる課長の視線を、そして俺に向けての敵意剥き出しの鋭い視線。



中島さんは、ともかく課長の彼女に対する気持ちは伝わってきた。


だけど俺だって諦める訳にはいかない!

誤解が解けて彼女の態度も前よりは軟化してきた気がしていた。
だからいつか彼女が自分に振り向いてくれたらって……そう思っていた。



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