彼女の恋~小指の赤い糸~
「明日は、中島の所に泊まらせて?」
いつものように食事をした帰り車の中で課長に言われた。
付き合っているんだから、泊まりだってありだよね。
「中島?
用事があるなら別の日にするか?」
「今週は実家に行く事になっていて……」
「そうか、なら泊まりは別の日にな」
「課長ごめんなさい」
「謝る必要はないだろう。
実家に行くなら仕方ないさ」
課長の手が頬をさっと撫でた。
最初優しく触れてきた唇は段々深いものに変わっていった。
「今日は、これで我慢しとく」
私から唇を放しエンジンをかけた後、課長はアパートまで送ってくれた。
実家に行くなんて本当は嘘……。
時々は帰っておいでって言われてるけど、いつも話しは電話で済ませちゃう。
自信ないんだよね……。
だから嘘ついちゃった。
課長ごめんなさい。