彼女の恋~小指の赤い糸~
花火か……誰かと見に行くなんて、ここ何年もないなぁ……。
課長に一緒に行ってくれるか訊いてみよう。
「玲奈、教えてくれてありがとう」
「いいよ。
参考になったんなら良かった」
夜、課長に電話で花火祭りの事を話したら「いいよ。行こう」って言ってくれた。
楽しみ。
高校生の時に玲奈と浴衣着て見に行ったのが最後だったっけ……。
玲奈が言ってたからって訳じゃないけど浴衣着て行こうかな……。
次の日。
「課長に花火祭りの事を訊いたらいいよって言ってくれて行く事に決まったよ」
「良かったね。
葛城課長と上手くいってるみたいね?
紗季の運命の相手は葛城課長だったんだね」
「何、突然?
運命の相手って……?」
「覚えてない?
高校の時に雑誌に赤い糸の運命の相手を占うみたいな特集が載ってて私は『包容力があって優しい人』だったかな……」
「そんな前の事を良く覚えてたね」
「あの時は、いろいろあったからね。
急におじいさまに言われて留学する事になってさ。
せっかく高校で紗季と知り合ってずっと卒業まで一緒って思ってたのに……」