彼女の恋~小指の赤い糸~
アパートに着くと主任まで降りて来てしまった。
「どうして、主任まで降りたんですか?」
「あー、何となく」
「酔ってます?」
「……かもな」
「タクシー行っちゃいましたよ。
どうするんですか?」
「どうするって歩くよ。
十五分もすれば着くだろう」
そうだった。
ここから主任のマンションは、わりと近かったっけ。
「私はもう行きますね。
気をつけて帰って下さい」
「ちょっと待ってくれ、なんか……ふらふらして気持ち悪い」
「主任、大丈夫ですか!!」
支えようと歩きかけた足を止め主任の所に戻った。
どうしよう……。
「歩けます?
タクシー呼びますね。
とりあえず、ここに座ってて下さい」