彼女の恋~小指の赤い糸~
確かに今は後悔して苦しい。
でも私が苦しむからなんて嘘に決まってる。
主任は自分が楽になる為に私を裏切って今は千夏の味方。
「私、千夏に何かしようなんて思ってませんから」
「俺は別に……」
言葉を濁した主任は放っといて仕事を始めた。
しばらくしてから手を止めて、主任が居た場所をそっと見ると居なくなっていた。
ほっと息をついた。
疲れた……。
主任と係わると、いつもこうだ。
気を張って無駄に疲れる。
お昼休みを知らせるベルが鳴った。
「紗季さん、すみません。
帰ります」
「安西さん、嬉しそうに出て行ったな」
千夏を見送っていると係わりたくない声が聞こえて来た。
うんざりしながら視線を向けた。