彼女の恋~小指の赤い糸~


《千夏?
直ぐに行くから待っていてって言ったでしょ。
今、どこ?》


《紗季さんごめんなさい。
今はマンションに戻ってます》


はあぁ?
何なの……。
心配して急いで帰って来たのに。


《ちょっとっ、どういう事か説明しなさいっ》


《主任が紗季さんと話したがっていて……》


もうっ何なの、あの男は。
千夏まで使って。


《主任と紗季さんの間に何があったか分かりませんけど、凄く落ち込んでました。
話しだけでも聞いてあげて下さい》


《嫌よっ。
あの最低男と話す事なんてないわよっ》


携帯を切って部屋に戻ろうと身体の向きを変えると主任が近くに立っていた。


いつから居たんだろう?


そんな所に立っていたって無駄なんだから。
主任と話す気なんてない。



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