彼女の恋~小指の赤い糸~
「この間はごめん。
やり過ぎた」
「いきなり、あんな事されて簡単に許すと思わないで下さい」
「本当にごめん。
……中島さんが好きなんだ!」
へ……!?
い、今なんて?
主任の一言で軽く混乱した。
「謝りに来たんじゃないんですか?
なんで、そんな事を……また私の事をからかってるんですか?」
「違うっ。
本当に中島さんが好きなんだ」
「だから、あんな事したって言うんですか?
迷惑です。
私は課長と付き合ってるんです。
だから」
「だから諦めろって言いたいんだろうけどそれは無理だよ。
ずっと東條を好きだった中島さんなら分かるだろ?」
受け入れて貰えない辛さは充分に分かっているつもり。
だけど主任の気持ちを受け入れる事は出来ない。
「私は……」
「聞きたくない」
「えっ?」
困ると言いたかったけど遮られた。
強気な表情の主任が射るように見ている。
話しを聞いてほしいって言ってきた時には凄く弱っているように見えたのに。