彼女の恋~小指の赤い糸~
「音が凄いけど。
キレイですね」
しばらくは連続で上がる花火に見入っていた。
「中島」
「何です……んっ……はぁ……」
不意に塞がれた唇、けして押し付けるような口づけじゃないのに……。
主任の顔がちらついた。
課長とのキスが嫌な訳じゃないのに……。
私の身体は……課長を拒否している。
固まってしまった私から課長はスッと放れた。
急に身体が冷えたような寒さを感じた。
私のバカっ。
こんな時に主任の事を思い出すなんて。
「……本当は後悔してるんじゃないか?」
「えっ?」
「何でもない。
あっ次が上がったぞ」