有界閉領域
「今日は、お疲れ様でした。また明日、明後日とありますが、頑張ってやりきりましょう」








会長のありがたくない挨拶で、お開きになった。









「お疲れ様~。玲奈ちゃんどうだった?」









疲れたのか、生徒玄関でぐったりして座っている玲奈に、先程会長から配られた缶ジュースを差し出す。









「サンキュ~。もうクタクタ。イマドキの中学生って本当、遠慮がないから困る」








「確かに。」








「リョウはアイドルか?ってぐらい、ガンガンに攻めて来るから、弥生ちゃんと私で壁よ、壁。とにかく、リョウに近づけないようにがっちりガードさせてもらいました」




   



   想像つくな~。



   


   さっき見ただけでも、すごい人数だったし。



  


    今頃リョウは・・・・すっごく不機嫌だなたぶん。







「会長に頼んで、サポート増やしたほうがイイかな・・・」








「とっくに頼みました。で、3年の強面女子3人追加したら少しだけましになったけど、それでも、あのツラでしょ?遠くから目立つ目立つ。寄ってくる寄ってくる。お前らはハイエナかってね。」








玲奈ちゃん、かなり気がたっている様子。









「リョウも途中でマジギレしちゃって・・・戸塚さんがいなかったら本当にやばかったよ。」








「そう・・・」



   



   小、中、高と同じだから、リョウの扱いを心得ているって訳か。








「ごめん。彼女の前で言うことじゃなかったね・・・」








「ううん。私なんて最近付き合いだしたばっかりだし、リョウの事そんなに知らないから、戸塚さんがいてくれて良かったと思うよ」








「うん。そうだね」







「そうそう」








真由が気にしていない様子でにこっと笑ったので、玲奈も少しだけ安心した。








「戸塚さんは?」








「塾?用事?だったかな。急ぐからって帰ったよ」



   



   そっか。


   
  



 未だに2人の関係がどういうものなわからないけど、ブチ切れたリョウをなだめてくれたのは、本当にありがたい。



   



   私じゃ、絶対無理だから。








ところで、リョウは?と目で探す。








会長と何か話している様子だが、こちらから見てもかなり疲れている感じだ。








この後も、真由にはまだ雑用が残っている。




   



毎日一緒に帰っていたけど、疲れているみたいだし、今日は先に帰ってもらおうかな。




   




玲奈は先に帰るみたいだし、書記室は使いたいから鍵だけもらっておこう。








「鍵は、職員室には持っていかなくていいよ。明日返してもらえばいいから。」








『じゃ~ね』と玲奈はゆっくり立ち上がり、教室へと向かって行った。








会長との話が終わったのか、リョウが真由の方に向かって歩いてくる。








「私、まだ仕事残っているんだ。遅くなりそうだし、先に帰った方がいいよ?」




   




   疲れきった顔している。


   
   



   無理もないか、さっき見ただけであれだからね・・・







「書記室で?」







「あ、うん。残ってこれの打ち込み」








案内の時、記入された書類を中学別に並べ、パソコンに打ち込まなければならない。







面倒な仕事だ。








でもみんなよりは、肉体労働じゃないから、このぐらい仕方ないか・・・








「じゃ~、行こうぜ」







「あ・・・うん」






『疲れたから帰る』と言うのかと思ったのに、予想外だった。










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