有界閉領域
書記室に入り、案内した生徒の名簿をまとめて、パソコンに入力する。



   
   


   かなりの根気な作業だ。








疲れたのだろう、リョウは、ソファーで横になっている。







「あ~。マジうぜ~。明日も明後日もだぞ?体がもたねーよ」







朝からずっと女子に絡まれてたからね、疲れるだろう。







私なんてたった1人の付き添いに絡まれただけでもドット疲れたから。








「あと2日。どうにか頑張らないと。それに会長にサポートもっと増やしてもらったら?」







「さっき言った。でもあいつ、『あと2日アイドル頑張って』てさ。ふざけやがって、『学校の印象が悪くなるのも、良くなるのも君次第だから』だとさ」








確かに、五月祭はイベントであり各学校の競争でもある。







リョウを代表に置いておけば、口コミで見学数が増えるのは目に見えてわかる。







うちが見学者数上位なのは、確定だろう。








どうりで会長が、リョウを代表にした訳だ。







「まだ、時間かかりそう?」







「ん~。このままいけば後、30分ぐらいかな?」







いつソファーから起き上がったのか、気配がして振り向くと、パソコンの画面を覗き込むようにしている、リョウの顔が横にあった。



   

   



   やだ・・・息がかかるぐらい近い・・・







「なぁ~真由・・・俺すっげー疲れたんだよ・・・だから癒してよ・・」







すっと伸びてきたリョウの手が、真由の頭をそっと固定する。








リョウの薄いグレーの瞳が、戸惑う真由を見て優しく光る。







「もう・・痛みは引いただろう?・・・優しくするからさ・・・真由」




   


   そういう顔は、反則だよ・・・



  


    だって・・・見つめられて囁かれると・・・頭の奥がジーんとして
・・・



   


   何も考えられなくなるから・・・・







近づいてくるリョウの顔に、真由は呪文にかかった様に目を閉じた。









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