有界閉領域
「カッコイイとは思うよ。でも・・・」






中学生とかありえないでしょ?って言おうとした時、







急に、周りがザワザワしだし、言おうとした言葉が止まった。







会長が前に出て、全員こっちに来るように指示している。







真由もリョウも立ち上がり、皆が集まり出している方に向かった。








「この3日間お疲れ様でした。今日で僕達は執行部を引退し、新しい執行部役員に受け継ぎます。」








「まず生徒会長は、橘涼司。副会長は宮田玲奈。書記は1年の東山佑樹。に決まりました。次に補佐を紹介します・・・」







次々呼ばれる補佐、それを聞きながら真由は、内心、良かったと胸をなで下ろした。








もしかして自分が副会長だったらどうしようと思っていたからだ。







生徒会長と副会長となれば、常に一緒に行動して、丸1日一緒ってこともある。







   それは、さすがに、キツい。







リョウと一緒にいて楽しいし嫌じゃないけど、丸1日とかは居たくない。





   わかがままだけど、正直な気持ち。






「あいつって知ってる?」







リョウが見ているのは、書記になった1年生の男子。







「ん?知らないけど・・・玲奈ちゃんが指名した子だから間違いないんじゃない?」








これから一緒にやって行かなければならない相手の事が、気になるのだろう。








『僕、アイドルもやってます』って言い出しそうな可愛い子。








玲奈ちゃんの事だから、身辺調査は済んでいるだろうし、後は『顔』を重視に選んだに違いない。








「さっきから、真由の事すっげー見てるからさ、知り合いかと思ったぜ」







「えっ?それはたぶん、私じゃなくってリョウの事見てたんじゃない?一緒に仕事しないといけないからね」








「ふ~ん。だといいけど」







こう言うところが、一緒に居たくない1つでもある。







リョウは気分屋なのか、何かの拍子に不機嫌スイッチが入る。







突然、不機嫌になって、黙りかちょっとした八つ当たりとか・・・







デートしていても学校にいても、本当、疲れる時がある。







「まぁ~玲奈ちゃんと東山君だっけ?これから1年一緒に居ることが増えるんだから、仲良くね?」








「玲奈は嫌いじゃない。でもあいつは、好きになれそうにない」




   はぁ~。話した事もないのに、勝手に決め付けてる。







「どうして?アイドルみたいで可愛い子じゃない?」




   言った後から、ちょっと後悔。







リョウの不機嫌を加速させてしまった。








「アイドルね~。あいつより俺の方が100倍カッコイイぜ」




   それは・・・そうだけど。




   はぁ~って感じ。








会長の話はいつの間にか終わっていた。







それが合図のようにお開きの時間って感じに、皆それぞれ自主的に片付けを始めてくれている。







余った料理は、希望者にパックに詰めで配っているし、もえないゴミとプラゴミ、缶、瓶と素早く片付けられていく。








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