有界閉領域
真由も自分が食べていたソファーの周りを片付け始めていた。








リョウは、手伝ってくれる訳でもなく不機嫌に、ソファーにどっかり座っている。







「リョウ、こちらが書記の東山くん。これから1年よろしくね」







玲奈ちゃんの隣で緊張した顔つきの東山君。







近くで見ると意外と大きい、それにすごく可愛い。







片付けをしながら真由は、こっそり見ていた。







「よろしくお願いします」







「あぁ~。よろしくな」







相変わらず冷たい返事。




   もっと愛想良くすればいいのに・・・







玲奈ちゃんは不機嫌なリョウの態度に、肩をすぼめ、ヤレヤレって感じで真由と目を合わす。








「で、こっちが春日真由ちゃん。役員ではないけど、私かリョウの部屋に、ほぼいるから、よろしくね?」







私の紹介は別にいいのに、でもさっきのリョウの態度のお詫びじゃないけど、愛想良くにっこり笑って東山くんを見た。








「よ、よろしくお願いします」







嬉しそうに照れている姿がまた可愛い。







「もういいだろう?俺は真由と話があるから、席外してくれ」




   もう~。失礼すぎるよ。







リョウの不機嫌は今に始まったことじゃないけど、こう言う態度は本当にやだ。







玲奈ちゃんもムッとした表情を一瞬見せたが、何事もなかったように東山君を連れて役員周りに行ってしまった。







「ああ言う態度は、良くないよ?これから一緒にやっていくのに。」







「だから何だ?執行部をまとめるのが俺の仕事で、仲良くするのは仕事でもなんでもねーだろう?それに、お前、マジイラつく。」





   まただ・・・八つ当たり。






生徒会室の空気が微妙に変わった。






たぶん、興奮したリョウの大きな声が響いたからだろう。






2人が喧嘩を始めたと、ここにいる全員がそう思ったに違いない。






急に静かになり、黙々としていた片付けも手早く終わり、気がついたらリョウと真由だけになったいた。






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