有界閉領域
気まずい沈黙がリビングに漂う。







何を言っても、レイとの会話は平行線で絶対交わらない。






　　　レイの気持ちはすごく嬉しい。





　　　嬉しいけど・・・応えることは出来ないよ・・・








「おや、お客か？」








散歩から戻ったおじいちゃまの沈黙を破る声。








レイはぺこりと頭を下げて挨拶した。









「君は・・・確か、佳代さんところの・・・え～と・・・」








見覚えのある顔を見て、おじいちゃまは必死に名前を思い出そうとしている。







「弟の礼司君よ。遊びに来たのよ」








「そうそう、礼司君だ。ちょっと見ないうちにまた一段と良い顔になったね」










おじいちゃまは、目を細めて嬉しそうにそう言う。








男の孫がいないから、佳代さんの孫が自分の孫のように思えているのだろう。








「礼司君、昼ご飯まだだろう？一緒に食べていきなさい」









強引なおじいちゃまの言葉に、気まづかった雰囲気がちょっとだけ和らいだ。









おじいちゃまお手製のパスタは、いつもより美味しく、食事をして会話しているうちに、いつのまにかいつもの明るいレイに戻っていた。









アトリエで、おじいちゃまの今取り組んでいる真由をモデルにした絵や、今までに描いた絵などを見せ、和やかな雰囲気のまま、時間は過ぎた。










いつの間にか、夕飯の時間になり『どうせだから食べていきなさい』とまた強引なおじいちゃまの一言でレイは夕飯も一緒に食べていった。








レイは、人当たりもよく礼儀正しい。









おじいちゃまとの会話を聞いていても、好感が持てる。









すっかりレイの事を気に入ったおじいちゃまは『また遊びにおいで』としきりにレイを誘っていた。











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