有界閉領域
真由の叫び声を聞いた近所の人が、何事かと見に来てくれて警察に通報してくれた。
警察が駆けつけた時、真由は泣いて震えてレイの手を握ったまま離そうとしない。
レイもいち早く手当する必要があった。
事情を聞ける状態じゃないと判断した警察は、2人を救急車に乗せた。
救急車に真由と一緒に乗ったレイは、びっくりするほど冷静だった。
めんどくさい事になると大変だからと、コウの病院を指定する。
コウの病院なら、いちいち説明しなくても上手くやってくれるからだろうと。
レイの傷は、左胸から腕にかけて20cm程切れていた。
出血の割には、縫う程のものでもなく2週間ほどすれば傷が塞がるだろうと言われホッとする。
でもコウのお父さんが心配したのは、切られたレイではなく、襲われた真由の方だった。
「あの子は礼司君と離さない方がいい。精神的に崩れかけている」
ずっとレイの手を握ったまま離そうとせず、男の人が近くにいるだけで怯えて震えてしまう真由の姿を見てそう思ったのだろう。
警察の人が、事情を聞きに来た時も真由は、レイの手を離さなかった。
真由の話す内容が、実況見分と一致したため、必要以上に細かいところまで聞かれなかった。
たとえ聞かれても、ショックで思い出せないからだ。
「レイ、真由!大丈夫か?」
コウがびっくりした顔で、病室に入ってくる。
大まかなことは聞いたらしく、それでも痛々しいレイの姿と真っ青で怯えている真由の姿は痛々しかったのだろう。
「大丈夫じゃ・・・ないな・・」
「オヤジが両親に連絡しておくから、後のことは任せておけ。」
本当は詳しい事情を聞きたかったコウだが、今は聞ける雰囲気ではない。
「コウ、悪いけど真由に服を貸してやってくれないか?」
レイの血が所々にべっとり付いている真由の服を見て、コウは『わかった』と言って病室を出て行った。
廊下は、慌ただしくバタバタしている音は聞こえてきたが、病室の中は、静かで真由もだいぶん落ち着きを取り戻していた。
「レイ、ありがとう・・・私・・・怖くって・・・でも、もう平気だから・・・」
本当は、全然平気じゃない。
でも、痛い思いをしているのに私が手を握っているせいで、横にもなれず、ベットに一緒に座っているレイが、辛そうだった。
「寝たほうがいい。私はこっちで座っているから、大丈夫だよ」
無理に作った笑顔がぎこちなかったが、レイは素直に横になってくれた。
警察が駆けつけた時、真由は泣いて震えてレイの手を握ったまま離そうとしない。
レイもいち早く手当する必要があった。
事情を聞ける状態じゃないと判断した警察は、2人を救急車に乗せた。
救急車に真由と一緒に乗ったレイは、びっくりするほど冷静だった。
めんどくさい事になると大変だからと、コウの病院を指定する。
コウの病院なら、いちいち説明しなくても上手くやってくれるからだろうと。
レイの傷は、左胸から腕にかけて20cm程切れていた。
出血の割には、縫う程のものでもなく2週間ほどすれば傷が塞がるだろうと言われホッとする。
でもコウのお父さんが心配したのは、切られたレイではなく、襲われた真由の方だった。
「あの子は礼司君と離さない方がいい。精神的に崩れかけている」
ずっとレイの手を握ったまま離そうとせず、男の人が近くにいるだけで怯えて震えてしまう真由の姿を見てそう思ったのだろう。
警察の人が、事情を聞きに来た時も真由は、レイの手を離さなかった。
真由の話す内容が、実況見分と一致したため、必要以上に細かいところまで聞かれなかった。
たとえ聞かれても、ショックで思い出せないからだ。
「レイ、真由!大丈夫か?」
コウがびっくりした顔で、病室に入ってくる。
大まかなことは聞いたらしく、それでも痛々しいレイの姿と真っ青で怯えている真由の姿は痛々しかったのだろう。
「大丈夫じゃ・・・ないな・・」
「オヤジが両親に連絡しておくから、後のことは任せておけ。」
本当は詳しい事情を聞きたかったコウだが、今は聞ける雰囲気ではない。
「コウ、悪いけど真由に服を貸してやってくれないか?」
レイの血が所々にべっとり付いている真由の服を見て、コウは『わかった』と言って病室を出て行った。
廊下は、慌ただしくバタバタしている音は聞こえてきたが、病室の中は、静かで真由もだいぶん落ち着きを取り戻していた。
「レイ、ありがとう・・・私・・・怖くって・・・でも、もう平気だから・・・」
本当は、全然平気じゃない。
でも、痛い思いをしているのに私が手を握っているせいで、横にもなれず、ベットに一緒に座っているレイが、辛そうだった。
「寝たほうがいい。私はこっちで座っているから、大丈夫だよ」
無理に作った笑顔がぎこちなかったが、レイは素直に横になってくれた。