有界閉領域
レイのいる病室の前まで来た時、中からレイの怒っている声が聞こえてきた。






『うるせー。真由は今、話せる状態じゃねーんだよ!』






   誰と話している?
  





   中には人の気配がないから電話?








『心配なら、初めからカナダなんか行かなければ良かったんじゃーねーの?』






   リョウと話してる???








気が引けたが、思わず盗み聞きしてしまう。








『刺されたんだって言ってるだろう?真由は、レイプされそうになってたんだぞ!!それなのに話なんかできねーだろう!!』










『あの人に会いに行ったくせに、よく言うぜ』








『二股かけてるんなら、真由とは別れろよ。』








もっと話を聞きたかったが、隣の部屋から出てきた看護師さんに見られ病室に入った。








「あっ、切るわ」








話の途中だったが、レイは真由を見たとたん電話を切ってしまった。








「電話切ってもよかったの?」









「あぁ~気にすんな。それよりおじいちゃんとは連絡取れた?」








「うん。迎えは遅くなるって・・・・でも、帰りたくない」








あんな事があって、今日はあの家には帰りたくなかった。








「ここに泊まればいい。俺は1日安静にしろって言われてるし、真由も付き添い用のベッド借りて、ここで寝ればいいじゃないか」








「・・・・うん」







一瞬考えて、レイの言う事が1番良いように思えた。








どうせどこにいても眠れそうになかったから・・・








それに・・・レイの傍にいる方が安心するから・・・・








おじいちゃまに泊まることを連絡し、様子を見に来た看護師さんに、ベッドを用意してもらう事にした。









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