有界閉領域
病院の夕食が部屋に運ばれてきて初めて、自分がお腹がすいている事に気がついた。





   何を食べても味がしない・・・






レイは食事中何度も顔をしかめている。






   痛いのだろうか・・・・






そう思うと胸が辛くなる。







レイが来てくれなかったら、私はどうなっていたのだろう・・・







強姦されて殺されるか、ただ殺される。







どっちに転んでも殺される事実は変わらない。







・・・レイがいたから私は生きている。







そう思うと、一気に涙が込み上げてきた。







「真由・・・」







いきなり泣き出した真由に、レイはどうしていいか分からず心配そうに見つめる。







「レイ・・・私・・・・」






こみ上げる感情を言葉にできなく、ただ涙が流れるだけ。








レイはベッドから降り、泣いている真由をそっと抱きしめた。







「レイ・・・・レイ・・・・」








レイの温かい体温を感じ、ケガをしているのも忘れて、レイにしがみついて泣いてしまう。








「私ね・・・私・・・怖かった・・・・レイがいなかったら・・・・きっと殺されてた・・・・」







「・・・真由・・」







レイは優しく髪を撫でてくれた。


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