小さな恋のうた～short story～

「はぁっ………はぁっ……」

いったいどこまで来たのだろう。
私、紫苑はついさっき、大好きだった元婚約者に振られてきた。
元々、彼……琥珀に一番好きな人が出来たら婚約を解消させるって約束だった。
それは頭の中で理解していた。十分なほど分かっていた。
私はどこか自惚れていたのだろう。
琥珀は年の近い女の子では私としか話さないって……私を好きになってくれるって

でも、彼には一番ができた。

とても可愛いらしく、妹みたいに守ってあげたくなる、私も大好きな……愛裕を
彼が好きになった彼女を恨むことさえ出来ない。
琥珀があのこを好きになった理由が十分私にも分かるもの。
ずっと一緒にいたから……
いっそ、琥珀と愛裕、二人を憎めればよかったのかもしれない。
こんなにモヤモヤしないかもしれない。
こんなに胸が痛くなんないかもしれない。
でも、無理なのよ……
琥珀も愛裕も……大好きだから