かさ【短編】
ゆうくんのお母さんは、慣れた手つきでかさをごみ袋に入れると、集積場所へ捨ててしまいました。

ドサリ
重い音が響きました。



かさはごみ袋の中でつぶやきました。


『―ぼくを捨てないで…』



すると、周りからも声が聞こえてきました。


『そうだよ、ぼくだってまだ使えるのに…』

『そうよ』 『私だって』

同じようにまだ使えるのに捨てられた仲間たちがたくさんいたのです。


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