桜庭家の姉達
俺の家の敷地は普通の家の倍以上あることになるが、親の方針上、玄関は一つだけ。
俺の部屋やリビングがある方を本館、姉達専用の家の方を別館と言いやすいように区別してある。
「おはよう、麻琴」
「父さん、おはよ」
父さんーー桜庭龍太郎は我が家の主夫である。
結婚前は普通のサラリーマンだったらしいが、子供ができてからは母さんにかわって家事と育児をこなしてきた。
とてもおおらかで、優しくて、主夫ってのが変わってるけど、自慢の父さんだ。
「おはよ、マコ」
「琴音(ことね)姉ちゃんおはよ」
テーブルにはすでに次女の琴音姉ちゃんが朝食を食べていた。
琴音姉ちゃんは電車で数本の化粧品メーカーで働いてる、いわゆるOLだ。