すきなひとみーつけた。
「じょーだん」
「え?」
「まいけるじょーだん」
「は?」
だんだん状況が理解できてきた。
「だから、冗談でーす。」
「………」
「おーい、新藤?新藤ちゃーん?あおいちゃーん?」
「相澤なんてだいっっっきらいっ!!!!!!!」
そう投げ捨てて、私は走り出した。
「おい!新藤!……」
大きな声で私の背中に向かって何かを言ってる相澤を無視して、走りまくった。
少しでもドキドキして
少しでも気になって
少しでも本気になって
少しでも考えた私が馬鹿だった。
相澤は、そういう人だった。
誰かを笑わしたり、困らせたり、喜ばせたり、からかったりするために色んなことをしていた。
今回のはからかったんだよね。
でも、
やって良い内容と悪い内容があるよ…。
しばらく走って、息が切れた頃に走るのをやめた。
顔を触ると、熱かった。
きっと走ったから。
でも、相澤のことを思い出すと、
もっと熱くなるのが自分でもわかった。
「…ばかみたい。何やってるんだろ」
そう呟いた私の声は、独り言として風に埋れた。
トボトボとあるいて家へと向かった。