すきなひとみーつけた。





お風呂から上がって夕飯を食べにリビングに行った。

「あ、葵。」
「お父さん。帰ってたんだ」


リビングに行くと、お父さんの姿があった。夕飯の支度を済ませてくれていたみたい。


「葵が風呂入ってる時に帰ってきたんだよー、さ!ご飯食べよう」

「そっか。ありがと」


私の家はお母さんがいない。

私が小学生の頃に、交通事故で亡くなってしまった。

当時のことは全然覚えてないけど、
すごい悲しみを覚えたのは記憶に残っている。


その時からお父さんは、家事から私の学校の役員から何まで一人でこなそうと頑張ってくれた。

お父さんは、何でもできて尊敬してる。




「葵?」
「…えっ?な、なに?」
「ボーッとしてると味噌汁冷めるぞー」
「あ、ご、ごめん!」


隣に座ってご飯を食べているお兄ちゃんに話しかけられて、ハッとした。


少し湯気のたった味噌汁をそっと飲むと、あったかい母の味がする気がした。






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