すきなひとみーつけた。
二人をボーッとしながら見ていたら、赤松花と目が合った。
私は、赤松花の大きく鋭い目に捕らえられたかのように世界が停止したような感覚に陥った。
『祐樹先輩は渡さない』
ゾクッ…
そんな言葉が聞こえたような気がした。
「…葵?」
「…な、なに?」
慌てて返事をした。
美咲の声のおかげで現実に引き戻された。
「た、助かった…」
「はあ?意味わからん」
本当にそう思った。
助かった。ホッとした。
…赤松花の鋭く大きな目から逃れることができて。
横目でばれないように赤松花のことを見ると、もう目線は相澤に向けられていて、その目は三日月のように細く笑っていた。
恋する女の子って、怖い。
素直にそう思った。