すきなひとみーつけた。




葵side


『…次は、下山駅。下山駅です〜』


「ん…」


車掌さんのアナウンスで目が覚める。
もうあっという間に、下山駅に着いたみたい。


よく寝た。めっちゃ寝た。
気持ちよかった〜。


私は手を組んで思いっきり上に伸ばして、大きくあくびをした。


また降りそびれたりしないように急いでおりよう。うん、心に決めた。


そう思いながらふと時計を見ると、もう五時だった。

もう、相澤は待ってたりするのかな。
待ってる姿を想像すると、なんだか笑えてきてしまった。


「…ふふ」


少しだけ笑い声をもらすと、


「きもい。何笑ってんの」


と横から声がした。


「…へ?」


空耳かな、と思い横を見ると


「あ、あああああ相澤?!な、なんでいんの!?!」

相澤がいた。
澄まし顔で。


「そりゃ帰り道だから。いるのはとーぜんでしょ?ずーっといたよ」


そういうと、相澤はニコッと笑った。
うん、笑っても悪魔にしか見えない。



…?ってことは…


「…わ、私が寝てる時もまさか…」

「だから、ずーっといたって。ははは、寝顔、可愛さもクソもないな」

ニコリ


ああ、なんて悪魔なんだ。
私はこいつが一生嫌いかもしれない。






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