すきなひとみーつけた。




「葵さ。」

「うん?」



学校を出て駅に向かって美咲と二人で歩いて帰っていると、
いきなり美咲が口を開いた。



「先生のこと、好き?」

「…?好き、だよ?」



変なことを聞いてくる美咲。

好き、って、先生として好き。



「えー。違う。恋愛対象として」


「恋愛対象、として?」




さっきのことを思い出すと、
また顔がボッと熱くなる。



“ほんとだ。あーおい?大丈夫か?”



《葵》

って呼ばれた。

たしかにドキドキして心臓がうるさかった。


…けど。



「私は真壁先生、先生として好き。
恋愛対象とかありえなーい」

「ふーん?そっか、まあそうだよね」



美咲は納得いかないような顔だったけど、信じてくれたみたい。

ちょっとホッとしてる自分がいた。



「…よーし、今から遊ぼ、葵!」

「ふぇ?い、いいよ!」

「変な返事。やっぱ変だわー」



美咲は馬鹿にしたような口調でそう言うと、鞄を振ってスキップをしながら先に行ってしまった。

だから、呼び止めながら急いで追いかけた。

「もー、美咲、待ってよー!」

「はーやく!」



意地悪な時もあれば、
優しい時もある。

そんな美咲、大好きだなー。



そんなことを考えながら美咲の後ろを必死について行き、ゲーセンに向かった。



< 7 / 38 >

この作品をシェア

pagetop