すきなひとみーつけた。
「葵さ。」
「うん?」
学校を出て駅に向かって美咲と二人で歩いて帰っていると、
いきなり美咲が口を開いた。
「先生のこと、好き?」
「…?好き、だよ?」
変なことを聞いてくる美咲。
好き、って、先生として好き。
「えー。違う。恋愛対象として」
「恋愛対象、として?」
さっきのことを思い出すと、
また顔がボッと熱くなる。
“ほんとだ。あーおい?大丈夫か?”
《葵》
って呼ばれた。
たしかにドキドキして心臓がうるさかった。
…けど。
「私は真壁先生、先生として好き。
恋愛対象とかありえなーい」
「ふーん?そっか、まあそうだよね」
美咲は納得いかないような顔だったけど、信じてくれたみたい。
ちょっとホッとしてる自分がいた。
「…よーし、今から遊ぼ、葵!」
「ふぇ?い、いいよ!」
「変な返事。やっぱ変だわー」
美咲は馬鹿にしたような口調でそう言うと、鞄を振ってスキップをしながら先に行ってしまった。
だから、呼び止めながら急いで追いかけた。
「もー、美咲、待ってよー!」
「はーやく!」
意地悪な時もあれば、
優しい時もある。
そんな美咲、大好きだなー。
そんなことを考えながら美咲の後ろを必死について行き、ゲーセンに向かった。